風の谷のナウシカ

日本において、ほとんど飛行機が作られなくなった当時の現状(2013年〈平成25年〉現在)に対する提言として、「経済合理性がなくても、素人でも、アートなら作ることができる」という位置づけでの飛行機製作に挑戦したと伝えられている。八谷和彦が代表(2003年当時)を務める株式会社ペットワークスと、四戸哲が代表を務める飛行機メーカー、有限会社オリンポスの共同プロジェクトとして開始されたが、休止期間(後述)の間に予算や作業量の負担が限界に達しつつあることを理由としてオリンポスがプロジェクトから撤退している。

具体的な達成目標は、宮崎駿原作の『風の谷のナウシカ』の劇中に出てくる架空の航空機「メーヴェ」の機体コンセプトを参考にしながらも、「体重50 Kg程度の人ひとりを乗せて」「実際に飛行可能な」「ジェットエンジンを搭載したパーソナルグライダー」の完成であるとされている。機体は不定期に日本国内の各地の展覧会などで公開され、実験は Youtube などで配信されている。

白いガル翼の無尾翼機で、主な材質は木材および FRP である。機体は胴体ポッドと内翼・外翼の両主翼から構成される。操縦者は機体の上に腹ばいになり、ピッチコントロールは体重移動で、ロール制御は体を捻ることによるエルロンで操縦する設計となっており、操縦特性はハンググライダーに近い。八谷本人によると自分では無理だが、訓練次第では立ち乗りも可能かもしれないとコメントしている。機体は「メーヴェの1/2サイズの飛行可能な模型」であるフェーズ1「2分の1サイズ模型」、無動力の初級滑空機であるフェーズ2「M-01」と「M-02」、ジェットエンジンを搭載したフェーズ3「M-02J」の4機が製作された。なお、フェーズ2と3の機体の番号につけられた「M」は「メーヴェ(Möwe)」の頭文字である。

フェーズ2(2型)以降の機体設計は四戸が、製造はオリンポスが行った。M-02の時点では公募した女性パイロットが操縦したこともあったが、M-02Jではパイロットは航空局の許可の関係で機体特性を熟知し似た航空機の操縦経験が問われるため、八谷のみとなっている。また、量産化や市販の予定もない。